いじめは子供の世界だけではなく、パワハラの形で全ての世代で行われている。それをいじめと自覚して対処しないと、成人でも自殺、反社会的な行動、ひきこもり等に陥ることもある。更にそのことを報道する内容も、いじめがあったことを前提に考えないと、真実を見損なう。いじめは犯罪であり、被害者は社会的に救済されるべきである。しかし、実態が複雑で対処方法はそれぞれ違う。自殺や反社会的行動仕事は絶対にダメである。失敗を恐れずに仲間と行動すべきであり、法律に訴えてもいじめをなくす、という強い気持ちが大切である。犯罪に負けてはいけない。
私はアレルギー科の開業医である。過去には色々な病院で勤務した。しかし医療的、経済的なことで様々な圧力があり、結果的には転勤を繰り返した。当時は病院の方針とされ、仕方が無いということで納得させられた。今から考えると、パワハラで病院の営利目的の方針に従わない者へのいじめであった。
アレルギー科として多くのアレルギー疾患を診療しているが、アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)もその一つである。アトピーは乳幼児から高齢者まで罹患する病気で、現在でもはっきりした原因は不明で、治療も外用塗布だけとかの対症療法が多い。私は以前からアトピーは、一)アレルギー、二)感染症、三)ストレスの三つの要因が複雑に絡みあっていると考え、これらを同時に治す治療を考案した。一)アレルギーには、まずプリックテストという皮膚反応を利用したテストをして、アレルギーの検索をする。よく使われている血液検査は、偽陽性や偽陰性が多く、正確ではない。この検査をすると、今まで指摘されなかったアレルギーが多く見つかった。
例えば、小麦食品を食べても蕁麻疹等は出ないが、小麦に対するアレルギーがあるとアトピーのかゆみの原因に関与している場合もある。そういう時は、一時的に小麦を除去すると改善が早い。二)感染症は、アトピーの傷やじくじくした部分から細菌を培養する検査をする。そうすると高率に黄色ブドウ球菌等の細菌が検出される。軽症なら消毒液を塗布して、皮膚の病変の範囲が広ければ短期間の抗生物質を内服する。これらの治療で素早く改善する。三)ストレスは、アトピーでのかゆみは生活の質を低下させ、さらに不眠も起こし、生活がうまくいかない。アトピーの改善が実感できないことや医療不信も加えてあり、単に皮膚の病気とみなしている社会の偏見も大きい。そこでそういう不安や不満を受け止めて、きちんと治療すれば改善すること、不眠も早寝早起きで治ること、等を実際に改善した人の写真を見せて説明する。これで信頼感が強まり、治療への希望が持てる。
そのような治療をしてきて、アトピーが改善して治癒する人が多かった。結果的に多くの患者さんが受診し、医師として多忙であったがやりがいがあった。しかし、病院は多くの職員がおり企業ともいえる。アレルギー科で患者さんが増加することは、医療補助のクラークさんや事務の方々が忙しくなることを意味する。しかも前述のような丁寧な治療をするので時間がかかる。更に検査料も安く、外来での院内収益としては多くない。従って企業としては効率が悪く、色々な所から不満がでる。また病院側の反応が色々違っていてパワハラと思わせなかった。
ある病院は事務長に呼ばれ、「診療時間が長いがそれに伴う収益が少ない。もっと入院させて、収益をあげるように。」と言われた。入院せずに改善するのは、患者さんの負担を減らし、優れた治療であると褒められてもおかしくない。入院が不要な方を無理に入院させるのは非人道的である。しかし収益しかみない人はそういう非常識を押しつける。入院させないのは、規約違反のような感じで責められた。まるで仕事をしていないかのような言い方だが、収益という数字を元に責められると無能のように感じる。退職も考えたが誠実な医療をすべきなので、自分が正しいと考えて耐えた。そのように呼ばれて命令されることが頻繁にある。結論はいつも同じだが、精神的には圧力であり、暗に辞職を迫っている。更にその事務長は、時間外勤務を認めないという暴挙に出た。
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